まさに娘にぴったりだと思った理由は、 「小6でTOEICを受け(させ)ようと思った理由①」
で書いたように、「レベル別の英語クラスで中1から英語の原書を読んでいける事」「公立でお金がかからないこと」「入学試験に学力試験が課されない事」であった。
それに加え、この学校の「教育目標」が娘のこれまでの歩みにドンぴしゃでハマっていたのだ。転載すると、
- 言語環境や文化的背景の異なる子どもたちの相互啓発により、ともに生きる心をはぐくみ、多文化社会に生きるにふさわしい人間形成を図る。
- 個に応じた指導の充実により、基礎・基本を確実に身に着け、それを本基に自ら学び、考え、判断し、行動する力を培う。
- コミュニケーション能力や異なる文化を理解・尊重する態度など豊かな国際感覚を備え、国際社会に貢献できる力を育てる。
兵庫県立芦屋国際中等教育学校 教育目標より
まとめると、現校長先生の挨拶にあるように「グローバル人材育成」を基幹に置いた、個を大切にする取り組みを既に実践し、コミュニケーション能力や国際社会に貢献できる力を育成する学校なのである。
また、「募集要項」には、対象者枠として3つが設けられている
- 日本語や日本文化への理解が不十分な外国人児童 30人
- 継続して1年以上海外に居住した児童(保護者の海外勤務等に伴い海外における在住期間がある者) 30人
- 本校の教育目標を理解し、留学や海外での生活等尾を目指して特に入学を希望する者 20人
兵庫県立芦屋国際中等教育学校 募集要項より
娘はそれまで、少し特殊な言語環境や文化背景で生きてきた。日本にいながら、独自ののめりこみにより、英語圏の同年齢の子供と比べても遜色がない英語読書力やディスカッション能力を持つに至り、また、小学校の1年夏から4年夏までは、「大阪中華学校」という台湾系の民族学校にある経緯があり通っていた。
中国語に関しては、話す力は今一だったが、授業はほぼ全て中国語メインで受けていたため、中国語でも理解していた。何より、この学校は台湾のやり方で教育が施され、また他民族・多文化共生が実践されており、娘は友達との交流やトラブルを通して、幼いなりに、「国が違うと行動の仕方や考え方も違うものだ」ということを自然に体得していた。
そして、将来は、「翻訳家になって、異文化間の交流に役立てたらいいな」という漠然とした夢を抱いていた。台湾旅行を一度してから台湾の食にハマってしまい、大学は台湾大学に行って台湾の食を堪能したいとも言っていた。
このような娘の、「イレギュラーではあるが、日本語や日本文化に枠に捉われない個性的でグローバルな生育環境」と、この教育目標は、私の頭の中で完全に一致したのである。
しかし、日本人の両親を持ち、海外居住経験も皆無である娘は、枠③で受けなければならず、この枠だけは倍率が高い。全体では募集定員80人に対して受験者数は平成28年の場合284名であり、約3倍ちょっとであるが、枠別でみると、①、②は受験者は少なめ、③がかなり多いというのが毎年の状況であり、倍率はかなり異なってくる。
学力試験がなく、願書に学校の先生が書いてくれる調査書と、面接と作文だけで勝負が決まるのである。受ける本人は楽ではあるが、事前に合格可能性などが全くわからない。なので、私は小6の梅雨頃になって、娘の合格可能性を少しでも高めるための対策を考え始めたのだ。