今回はいつも各方面にアンテナを伸ばしておられる脳脊髄液減少症患者Sさんのお母様から、頂いた情報をお届けいたします。
大量の鼻水は髄液だった!
CNNが報道したニュースから。米ネブラスカ州で、2015年の事故後から一日に500mlもの大量の鼻水が出て止まらない症状の52歳の女性がいました。「アレルギーか風邪のひき始め」と思っていましたが、3年後にこれが脳脊髄液だとわかり大手術となりました。
脳脊髄液というのは無色透明の液体ですが、この女性の場合、頭蓋と鼻孔を隔てている「ポテトチップよりも薄い」骨に小さな穴が開き脳脊髄液が鼻や口に漏れ出していたとのことです。
脳脊髄液は脳の内側にある脳室の脈絡叢で一日に700mlほど作られ硬膜と言う容器にに満たされています。脳と脊髄という大切な中枢神経を保持・保護して神経に必要な成分を補給しているのです。
硬膜とは、大脳、小脳、脊髄を容れる複雑な形をしたケースで脳から尾骶骨の方に延びています。硬膜には沢山の末梢神経線維の束の通路があり、その通路から、頭部では脳神経(臭神経、視神経など)脊髄部分では感覚(知覚)神経と手足を動かす運動神経の束が通信回線のように通っています。(低髄液圧症候群(済生会))
なので、ブラッドパッチでの治療範囲である頸椎から尾骶骨外部を包む硬膜破損による髄液漏れ以外にも、鼻や耳近くから漏れてそれが外部に漏れだすこともありうるということなのです。
https://www.functionalbody.net/2016/11/11/sekizuieki/
日本の救急外来でも、頭を打った患者さんが担ぎ込まれた時「もし鼻水が出ていたら、髄液が漏れていると思え」と教えられているということです。
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耳からの髄液漏れ
娘が明石の病院に入院中に、交通事故によって脳脊髄液減少症の他に、耳からの髄液漏れ(外リンパ瘻)を併発してられる患者さんがおられました。
外リンパ瘻(ろう)と読む難しい漢字ですが、これについての知識も持っておいたほうがよさそうですので、以下、神戸新須磨病院の解説を引用させて頂きます。
外リンパ瘻(ろう)は摩訶不思議な病気です。まず、現時点(2018年11月)では世間の大半の人はその名を知りません。かといって外リンパ瘻が非常に珍しい病気かというと決してそうではなく、むしろよくある病気と思われます。
この外リンパ瘻とは、耳の奥の内耳にある窓(正円窓と卵円窓)が普段は常に閉じているものが、何らかの原因で穴が開き、その穴から外リンパ液という液体が中耳に漏れてくる状態をいいます。
この外リンパ液は元々、脳や脊髄の表面を覆うように存在している脳脊髄液が内耳に流れてきているもので、一旦内耳の窓に穴が開くと持続的に漏れるようになります。その結果、内耳の本来の作用である聴こえの障害(難聴)や、バランス感覚の異常(フラツキ、めまい)、さらに神経反射としての気分不良、ムカツキ、嘔吐、冷汗などの様々な症状が単独あるいは複合して出現します。
外リンパ瘻外来のご案内(Perilymph fistula) | 耳鼻咽喉科 | 診療科目のご案内 | ご来院の方へ | 医療法人社団 慈恵会 新須磨病院 兵庫(須磨/神戸)
脳脊髄液減少症と併発しているときは、先に脳脊髄液減少症の治療を優先してから外リンパ瘻の治療をした方がよいと脳脊髄液減少症治療の専門医が書いておられました。
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歯科治療と脳脊髄液減少症
更に、頭蓋骨や脊髄のずれにより脳脊髄液減少症のような症状が出ることもあるようです。また、嚙み合わせでも「頭痛」「肩こり」「腰痛」「膝痛」が出ることから、「顎関節症」と診断され、歯科矯正等の治療をされる方もおられます。
反対に、歯科矯正治療の影響でそのうような脳脊髄液減少症のような症状が出てしまうこともあるそうですので、この部分(口回り)は非常にデリケートであり治療にも最新の注意が必要な箇所であります。
しかしながら、脳脊髄液減少症の髄液漏れが原因で顎関節症になる方も少なからずおられるのは、脳脊髄液減少症患者さんの間ではよく知られています。
この場合、脳脊髄液減少症の治療がうまく行くと、顎関節症も治ってしまうことが多いのです。髄液の減少により三叉神経が正常に働かなくなり咬筋のアンバランスが顎関節症の原因となると考えられているからです。
私も実際に一人の脳脊髄液減少症の患者さんが、酷い時には顎関節症になりブラッドパッチでそれが消失したという経過を辿られたのを知っています。
以上、Sさんからの情報をもとに更に検索を加えて髄液漏れの盲点のような症状をいくつかご紹介させていただきました。
追記:この記事を読まれたSさんのお母様からのlineです。Sさんも鼻水が凄かったこと、そして歯科矯正中でもあったのですが、2度目のブラッドパッチが成功してからは消失したということです。
原因がまさか髄液漏れだとは思わず、整体に行って背中をごりごりやってしまい悪化させてしまったのだそうですが、これは脳脊髄液減少症患者さんの「あるある」です。
お医者様も見過ごす事の多い髄液漏れによる諸症状ですので、皆様のお心に留めておいて頂ければ幸いです。
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