不意をつかれた告知
今年になって娘が受験と学校の課題に追いまくられていた2月の初め、珍しく平日に父から1本の電話が入った。何でも、持病の心臓大動脈瘤の経過観察のため毎年撮っていた胸部CTを今年は京都K病院で撮ったところ、医師にこう言われたというのだ。
「肺に何か影が映っていますよ。肺気腫のようだな。心臓よりこっちの方が大変かもしれないな。明日にでもご家族と呼吸器科を受診してください」
肺気腫は喫煙経験のある人に多い肺の病気で、重症化すると呼吸が苦しくなり酸素ボンベが手放せなくなるという。私はいつものように「肺気腫」についてある程度の知識をつけた上で2月3日の父の診察に付き添った。
一緒に診察室に入り、物腰柔らかくとても丁寧な話し方をされる中年の医師の前に二人ちょこんと座り、肺気腫の診断結果と今後の治療と日常の過ごし方を聞くつもりだった。
医師は、その日に撮った沢山のCT画像とレントゲン画像をパソコンで開きながら、「ここに大きな影がありますね」「気管の周りにもできています」などと言いつつ、素人が見てもわかるような少なからぬ「異常」の見られるいびつな箇所を順番に指摘している。ちょっと、変だなあと思いながらも、基本、疑わずに医師の言葉に耳を傾ける。
しかし、おかしなことに「肺気腫」という言葉がなかなかでてこない・・・
そして、突然の沈黙と共に医師の顔つきが変わった。
「おそらく肺癌だと思われます。それも進行の速いものです」
思いがけない言葉に、私は頭が真っ白になる。父も恐らくそうだったろう。
咄嗟に、え、癌なのに何故家族の同意なしに本人に告知するのか?と頭の隅で感じたけれど、医師の言葉は止まらない。
「既にステージⅣです」
「肺の中のあちこちに大きな腫瘍ができており、肝臓や腹部リンパ、そして鎖骨にも転移しています」
「肝臓に転移したらもう厳しいです」
「もう抗がん剤の治療はお勧めできません」
「死刑宣告されましたわ」
父は既に癌を経験している。5年ほど前に膀胱がんの手術をして、それから数年間の検診では異常がみられないことから「完解」のお墨付きを貰っていた。
なので、今回診察室で癌と聞いてもそれほど驚かず、気を取り直してこう言った。
「私もこの歳ですのでもう抗がん剤も手術もする気はありません。半年に1度ほどここに来て検査を受けるようにしたいのですが…」
そうだ。
老人、しかも80代後半の老人の癌なんて、進行が本当に遅くて寿命が来るまで何年もほとんど変化のない場合もあるのだから・・・
しかし、医師は一瞬にしてその日常を変えられてしまうことになった、この哀れな老人に対して何故こんな返答をしたのだろう。
しかも、その一言は私たちのわずかな希望的観測を粉々に打ち砕いた。
「半年後は、もう・・・」
ここで父の表情が固まった。
そして、咄嗟に私の脳裏にはネット上で、国内外の幾人もの誠意ある医師が指摘し、Twitterやブログで嫌と言うほど報告されていたあの恐ろしい癌、「ターボ癌」という言葉が浮かぶ。
そしてあろうことか、医師は更にこう続ける。
「早いうちに、ホスピスの予約をされたほうがよいと思います。急がれた方が絶対によいです。今日にでも面談を申し込まれても早くはありません」
「ご家族で考えをまとめられて、どのようにされたいか来週お返事をお聞かせください」
私たちは文字通り打ちのめされて病室を後にした。
88歳の元気な老人が初診で癌のステージⅣで余命半年もなくてホスピスの予約って・・・?
「狐につままれたような気分」とはこのことだ。父は、自覚症状など一つもなく、たまたま心臓の定期健診を受けて見つかっただけなのだ。
なので、父から出た最初の言葉は「誤診とちゃうか?」であった。
しかし、私は、家族が、親戚が、知人が、ターボ癌で発見と共にあっという間に亡くなってしまったという多くの方の報告を直接、間接に見聞きしていたので、「おそらくそうなのだろう…」と直感的に思った。
父は、「免疫を低下させ(ターボ)癌を引き起こす原因となる」と、日本に先駆けて海外での接種開始当初から海外の何人もの研究者、それもノーベル賞級の優秀な方々が警告を発していたコロナワクチンを、私の再三の忠告も聞かずに、接種を喧伝する狂った政府とメディア、そして、周りの同調圧力に負けて打ってしまっていたからだ…
母の死後、父が立ち直るきっかけとなったカラオケスナックの仲間たちも、2021年の接種開始から、元気満々に歌っていた人たちなのに、一人、二人、と来なくなり、そのうち短期間で、何人かが「肺がん」で亡くなったことを、妹が父から伝え聞いていたという。
私が「これから癌になる人が増えるで」と、散々警告していたので父は私に言うのが気まずかったのだろう。
それでも父は、「自分はこんなに元気なのだから、何かの間違いだろう。癌ではあっても自分が数か月後に死の淵を漂っているなんて嘘に決まっている」と信じたい気持ちで一杯だったと思う。
だから、その翌日、いつものかかりつけ医のところに私と一緒に高血圧の薬を取りに行った時も、馴染みの受付の女性に冗談めかしてこう言っていた。
「死刑宣告をされましたわ!」
それが、今から2か月前のこと。
そして今父はホスピスにいて、その元気だった身心は猖獗を極めるターボ癌に容赦なく責め苛まれ、医師の不吉な予告どおり確実に生命の衰退のサイクルに入ってしまっている。
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