前回お伝えしたとおり、娘の学校事故案件の時効は2020年4月1日からの民法改正の時点で時効を迎えていなかったことから、3年⇒5年と変化したのです。
まさに「○○」と同じ心理状態
これを知って担当弁護士さんは青ざめられ、いつものような丁寧な謝罪をしていただいたのですが・・・
私の気持ちは、ここで切れてしまったのです。
かなり前から感じていました。
「これでよいのか?この方の方針についていって後悔はしないだろうか?」
「すごく丁寧で良い方なのだけれど、なにかしっくりいかないところがある」
「このまま訴訟に突入してしまったら、後戻りもできないし、解任するのも一苦労になるだろう…」
「でも、この人を逃したら、次に私たちを引き受けてくれる方が現れるだろうか?」
このような思いが頭の中を逡巡して、これはこれでなかなか悩ましい時間を過ごすことになったのです。
この感覚は、笑ってしまうような例えですが、まるで「結婚前の恋愛における男女の間柄」のように思えていました
「いい人なんだけど、何だか考え方がちょっと合わない… このまま結婚してしまっていいのかしら?でも、この人を逃したらもう次が見つからず一生結婚できないかもしれない、どうしよう・・・」
まさに、あの心理です。自分しか決断はできないのに怖くて一人では決められません。決断した後に何が待ち受けているのか予想もつかないからです。
同じような経験を持つ方々のご意見を伺ったりしたところ、皆さん判で押したように同じことを言われました。
「訴訟に入る前から違和感を感じているのなら、私なら続けない」
この時効の間違い以前からも意思疎通の齟齬を感じていて、それだけでも皆さん、「相性とか事件への思いの違いが大ききれば続けない方がいい」と言われていたのです。
その上に、「時効の確認もしないなんて、この事件への思いの軽さが見えてくる」というご感想も頂き、考えてみればやはりそうなのかもしれないな、と思ってもみました。
私は自分でいうのも何ですがかなり寛容な方で、好き嫌いや白黒もはっきりつけずに済ますことは多く、私の周りにはちょっと変わった人が集まってきたりもします。
しかし、やはりここはシビアに現実を見なければ後で後悔することになるかもしれないと感じました。
このような訴訟の相手方との闘いでは被害者側は心ない質問や悪質な事実隠蔽をされ、必ずと言っていい程非常な疲弊を体験することになります。その上、弁護士さんとの意見が合わずに神経を擦り減らすことになると・・・私はもとより結果的に娘をひどく傷つけるような訴訟の展開になるかもしれません。
今の段階でこのような懸念がある以上は、やはりここで決断の時だと考えるべきなのでしょう。
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別れの流儀
「次に誰か引き受けて下さるのだろうか?」も大問題でした。
何しろ、誰もが嫌がる学校事故であり脳脊髄液減少症でもあるからです。
そして、現在弁護士さんと契約中である以上、他の弁護士さんにはこの件についての相談はできないという決まりがある事は知っていたため、恋愛のように、「次の相手を見つけて乗り換える」というような事はできないのです。
※弁護士職務基本規定
(他の事件への不当介入) 第七十二条
弁護士は、他の弁護士等が受任している事件に不当に介入してはならない
これは大きな障害となる点でしたが、考えてどうにもなるものでもありません。
しかし、周りでは、訴訟が始まってからも弁護士を変えている方も結構おられ、最近では、「6回も変えて、被害者子供の事件に真に向き合って下さる弁護士を探した」という方とも、お話をさせて頂くことができたのです。意外と、そこまで心配する必要もないのかもしれません・・・
そして、煮え切らない態度の私を見かねて、別の方からのこんなお言葉が飛び出しました。
「こういう場合は、『エイヤっ!』と決断しないと先が開けませんよ!」
これが、大きく私の背中を押してくれたのです。
確かに、「手放す事」を怖がっていたら、いつまで経っても新しい運や出会いは訪れてこないのですから。(まさに、これも恋愛が破綻した時の流儀に通ずるものがありますね)
そういうわけで、あの日私は担当弁護士さんには別れを告げる連絡をしました。
依頼者の意志ひとつで解約は成立するのです。
幸いにも弁護士さんはこちらの意向を誠実に謙虚に受け入れてくださり、本当にその意味では優れた人格の方だったと感じています。
改めて「この3年間、寄る辺のなかった私たちを支えて下さり有難うございました」とお礼を言わせて頂きます。
そして、「それを行うことに意義のある訴訟」とするために、次に私たちに寄り添って下さる正義感溢れる漢(ハン)な方にお会いする日が間近であることを信じながら、「ほっ」と一息ついて、束の間の「おひとりさま時間」を満喫しているのです。
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