前回の続きです
母親世代の水泳授業の風景
時は1970年代。
京都盆地の中にある私の通っていた小・中学校では、夏のプールの授業の季節を迎えていた。暑さでは定評のあるこの地においても、この頃の最高気温は31~32度というもので、水泳の授業は大抵は「寒さを耐え忍ぶ時間」と捉えられていた。
どの子供も唇を真っ青にして水に入っていたことを思い出す。
ほんのたまに休むことがあったが、その時は、プールサイドに設置された日除けのための竹製の屋根の下に置かれた青いプラスチック製の長いベンチに座って、お友達とおしゃべりしながらプールの涼しげな水しぶきを見ていた。
これはとてもくつろげる時間であり、プールの授業を休むことの罪悪感など考えることもなく、先生からも意地の悪い目で見られることもなくゆっくりと休んでいた記憶がある。
私にとって、公立小中学校の水泳授業とは、「水に入れば寒かった」ことと、「欠席の見学のくつろぎ感覚」のみの、ありふれた子供代の1ページに過ぎないのであった。
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娘からの報告でぶったまげる
時は移り、2017年の7月。娘は神戸市東灘区の某公立中学校の1年生。
そんな夏のある日、学校の水泳の時間を欠席することになった娘。
日焼けした紅い顔で学校から帰ってくるなりこう漏らした。
「今日のプールの授業、座らせてもらえなくて、熱い(暑いではなく)プールサイドに全員立たされて、日の当たるところで立ったままレポートを書かされたんやで!」
一瞬耳を疑った。
私の子供時代ならともかく、学校での活動や授業中で、熱中症で命を失う生徒が毎年のようにニュースに取り上げられている昨今、こんなことが常識であり得るのか…
娘はこのようなことを報告する時は、一切の嘘や誇張はしない。また、真面目で謙虚で頑張るの3拍子揃った生徒として先生方の受けもよく、教師に睨まれ、陥れるためにこのような事を親に捏造報告をする生徒はたまにいるが、そのようなタイプとは対極にいるタイプの子なのだ。
何がいいたいかというと、つまりこれは紛れもない現実ということである。
このような危険なことが、多くの保護者が子供を預けている義務教育の場で行われていると知ったのだ。
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聞くとこんな感じだったらしい
お腹の調子が悪かった中一の娘は、その暑い日、水泳授業を欠席した。京都ほどではないが、神戸の夏でも軒並み35度前後は珍しくない。雲一つない快晴のもと、原籍中学校(M校)の1年生の生徒たちは水泳の授業の準備をしていた。
この年頃になると、プールに入れない女の子は一定の割合でいるわけだが、この時は5人くらい。娘はこの子たちと共に見学者が当然座れる思っていたベンチに座ろうとしていた。一応、木はあるが、完全に日陰にはなっていないところだが…
そうしたら、先生がそれを許さず、こうようなことを言ったらしい。
「友達が水の中で頑張って泳いでいるのに、自分たちだけ涼しいところで楽していいと思っていいと思うのか⁈」
そうして、そのような「一般常識」に照らせば明らかにおかしな発言を、あまりにも自信に満ちた高圧的な調子で言われたのならば、その理不尽な「命令」に逆らえる女の子は一人もいなかったのは当然と言えば当然であろう。
さらに呆れたことには、炎天下で陽を遮るもののない中、この子たちは、立って見学するだけでなく、「レポートを書きながら立って見学」をさせられたという。
私でなくとも、こんな話を聞けば、呆れた口が塞がらなくなるだろう。
娘に言った。
「次、水泳を休む時にそんなことを言われても、気にせずに日陰に行って座るんやで!成績よりも自分の命の方が大事だから!」
「うんわかった」
その次の見学の時には、女の子の中で娘だけがさっさと日陰に行ったらしいが、他の子は炎天下で見学を続けたらしい。
非人道的で非科学的な指導だとはわかっていても、それに逆らうとどんなことが起こるか(内申↓)を、ここ、東灘区の教育熱心な家庭の子供にはしっかりわかっていたのであろう。
一方、他府県から来た私達には、このような学校での理不尽な指導に対しどのように身を処するべきかを全く心得ていなかったと言える。
この教師らは犠牲者が出たらどうしようとか考えないのか?
それにしても、真夏の炎天下、巷では40度にもなることもあると言われるプールサイド、それも日除けのない直射日光ギンギンのところに体調の悪い女の子を立たせるという、常識では考えられない、こんな事したら熱中症になるだろうとアホでもわかることを、学校の教師が「命令」してさせていたのである。
ここに教師側の処罰感情の発露を見るのは私だけだろうか?
ただでさえ体調の悪い子に、意味の分からぬこんな厳しい「罰」のような処遇を与えて、もし先日のニュースのような騒ぎになっていたらどうするつもりだったのだろう? 熱中症は、「死」に至ることもある恐い症状であるというのに…
自分たちは進学のための「内申」を左右する権力を握っているのだから、いかに東灘の保護者と言えど、騒ぎ立てたりはしないだろうと高を括っていたのかもしれないな…
(続く)
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