「メンコン」とは、メンデルスゾーン作曲 ヴァイオリン協奏曲ホ短調Op64
バイオリンを弾く者ならいつかは弾いてみたいと憧れる、この楽器ならではの高音が聴くものの心の琴線を揺さぶる、非常に美しい名曲中の名曲です。
バイオリンを習っても、半分くらいの人は、音楽にならないうちにやめてお勉強や他の習い事の方にいかれます。そこをクリアして続けていく生徒にとっては、まずは、メンコンを弾けるようになることが、一つのマイルストーン、大きな到達目標として練習をがんばるのです。
素人演奏なりに、ここまで来れば、「バイオリン弾けます…」と小声で言えるくらいのレベルではないでしょうか…
この曲は私と娘にとっては、様々な思いが入り混じった、切なくも悲しい曲でもあります。
娘がこの曲を弾いていたのは小6の時でした。娘の弾く曲は私の希望と先生の判断で選んでいたのですが、私としてはとにかくこの曲を娘が弾くのをものすごく聴きたかったのです。
「メンコン」を語るには、2人の人物の思い出が欠かせません。
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娘を「メンコン」につなげてくれた人
1人目は、バイオリニスト「黒川侑」さんです。
私が、あるコンサートで黒川侑さんが弾かれる「メンコン」を聴いた時、彼はまだ大阪の高校生でした。その、音楽を全身で感じ、恍惚として弾かれるお顔の表情が忘れられず、「メンコンというのは、ヴァイオリンでしか出せない音、このように全身が音楽と一体化し、そこから絞り出すように弾く繊細で奥深い曲なのだ…」と悟り、高音の聴かせる部分で涙腺崩壊させられてしまったその日の事を今でもはっきりと思い出します。
まさに、「天上の音楽」
プロになる人の音楽的感受性のすごさを思い知った演奏でした。
その時はまだ娘はまだバイオリンを始めていなかったと思いますが、いつか娘がこの曲をお楽しみ組(バイオリンを専門としない人)の素人演奏ではありますが、一応弾くようになるとは想像すらしていませんでした。
2人目は、この女の子です。京都でお世話になった同じ教室の生徒さんでした。毎年、この少女が弾く曲を間近で聴かせてもらい、娘にとっては憧れの先輩。
神戸に引っ越して、お教室は変わったのですが、娘は事故に遭いバイオリンが弾けなくなるまでは毎年発表会には参加させて頂き、ドキドキしながらこの憧れの女の子の近くでバイオリンを弾きました。最後の一回を除いてですが…
彼女が今の娘くらいの歳の発表会に、「メンコン」を弾いてくれたのですが、その人柄がにじみ出るような 、暖かい音色。聴いた人を癒すような、ヴェールを纏った春の光のような演奏でした。今でもあの時の彼女の優しい音と表情ははっきりと覚えています。
娘は、この少女の背中を見て育ってきたともいえる、眩しすぎる先輩だったのです。
(この少女のことは次回の記事で再度触れます…)
そして娘は長いブランクの後メンコンを弾いた
先日の病院の音楽練習室で、久しぶりに弾いた娘のバイオリンの第一声は、この「メンコン」でした。人生の悲哀や至福を音にしているような曲です。やはり、今の自分の気持ちや思いに繋がるようなフレーズが頭に浮かぶのだと思います。(1分)
娘が、響きの良い部屋で気持ちよく弾いているところに邪魔をして、「動画撮らせて!」と言ったのですが、なかなか上手く弾けなくて…
娘は久しぶりにバイオリンを触って、自由に弾きたいところを、最後の10分くらい何度もNGの動画撮影に付き合わされたため、最後は怒りだし、やけくそみたいになって弾いた最後のトライですが1分で撃沈。音も狂いまくりです…
娘はこれを公開するのを知ればきっと怒ると思いますが、2年前の事故で加害者がどれだけのものを娘から奪い去って、一切謝罪もなく、学校に責任を押し付けて逃げてしまったのかを忘れないでいただきたいのです。
音楽をしてられる方ならこれがどれだけ辛く重大な被害かわかられると思います。
娘は学校事故(加害生徒の一撃)により音の翼ももぎ取られました。
秘めていた怒りが爆発しそうになります。一人の子供をこんな目に合わせて、やった方は良心の呵責はないのでしょうか… と思い出すたびに考えてしまいます。
それはそれとしまして、
下の動画は、京都の先生の事故前の最後の発表会のリハーサルです。音響も悪く、いきなり打ち合わせゼロのピアノ伴奏合わせで、全く息が合っておりませんが、娘のメンコンはこの動画しか残っておりません。(本番のものは、ミスで撮れていませんでした…)
リアルタイムでメンコンを弾いていた頃の娘を垣間見ていただけたらと思います。(上手いとは口が裂けても言えませんが、速いです!)
おそらく、全部聞いてくださる方は稀少だとは思いますが、その方たちへの元気だった時の娘からの音のメッセージ第二弾です。
悲しい曲想から、希望が見えるようなフレーズが何度も出現します。ほんとに名曲…
小6 メンコン(フルバージョン)のリハ… 初めてのピアノ合わせが高速すぎて青ざめながら必死でついていく娘
緊張すれば、だんだん速くなる癖があり、最後は凄いことになっています。
一通りは弾けるので、本当にこれから(お気楽、お楽しみコースの娘なりに)色んな技術や表現を身に付けていこうという時期でした…
昔の娘のビデオの封印を解いてから、何十回も見て涙を流す毎日です。毎年、幸せな音の場を共に作り上げていた大切な音楽の仲間たちからも引き離された2年間でした。
事故直前までの先生方とのレッスンは何物にも代えがたい幸せな時間でした…この2年はご心配をかけるだけの日々でした。
2年の間に色々ありましたが…
音楽の神様、娘はやっとここまで戻って来ました。これからの人生、幸せな気持ちでバイオリンを弾き続けられるように、どうぞ娘をお導きください…
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