西日本新聞記事より
前回の記事、
英語保育施設でカナダ人外国人講師が園児暴行(その1)英語保育経験者による考察① の中では、
- ネイティブといえども、色んな先生がおられること
- 「良心的価格の英語保育施設」が人件費のコストダウンを図るため、ネイティブ講師ではなく、準ネイティブともいえるフィリピン人講師を戦力としていること
- そして、彼女たちが大変優秀な英語講師であり、心優しい保育士であったこと
を娘の体験を通して紹介した。今回はその続きである。
ネイティブ講師は貴重な存在だが・・・
フィリピン講師がいくら優秀で子ども扱いが上手くても、日本の保護者のニーズはやはりアメリカ、カナダ、イギリスなどのネイティブである。
なので、経営側としては、このネイティブをなるべくコストを抑えて雇いたいと思うのが自然であろう。
極端な言い方をすると、そういう英語教育施設ではこの人たちが、どんな生き方をしていた人物であっても、ネイティブであることがブランドであるため、余程ひどい印象を与えない限りは採用されるのではないかと思えるふしもある。履歴書なんて何とでも書けるし怪しいものである。
意地が悪い書き方であるが、実際そのように感じさせるネイティブ講師達を私は沢山見てきた。
勿論きちんとした英語教育施設は、高い給料でレベルの高い人を採用していると思うが、全ての施設にそんな余裕があるわけではない。
また、選ぶ側の保護者にしても質の高いネイティブを揃える高額の施設よりも、そこそこの質の安いところに流れるものだ(私のような庶民層の場合・・・)。
つまり、安い賃金でネイティブを雇っているような所は、当たり外れが激しいとしても不思議ではない。なので、そういう前提で、「ネイティブだから」と安心するのではなく、自分で観察する目を持ち続ける事が大事であろう。
英語保育施設ではないが、私のかつての経験を思い出す。
スカイプなどなかった時代、少人数レッスンが売りでお手頃価格の大手英会話教室に通った時期が少しあるが、そこでは、けしからん若造が講師として教えていた。
生徒である可愛い日本人の女の子に、色目を使いながら、ある時は歯の浮くようなお世辞を使いながら、レッスンをするのだ。(その日本人の女の子は勿論私ではない)
生徒3人に対してネイティブ先生1のその駅前留学外国語会話教室N、そんな不愉快なことがあったので英語はすぐやめてフランス語一本にした。
そうしたら、そのフランス語講師の質の高い事と言ったら、驚きのレベルであった!
そして、後にこの人の辿った道は信じられないものであったのだが、またこれは後に1つの記事にして書いてみようと思う。
また、大昔に少しの期間行ったことのある(私はすぐやめる人だなぁ…)別の大手の英語教室は、講師の質が高く、ハーバード出身の頭の切れる先生とは懇意にさせて頂いた時期もあるのであるが、この学校の、ネイティブ英語講師は揃って質が高かった。
しかし、こういうところは1クラス10人の生徒という環境だったため、英会話はなかなか上達しない。
当たり前の事だが、質の良いネイティブの先生に、少人数、できればマンツーマンで習うなんて、庶民には敷居が高い世界の話であるのだ。
その意味で、フィリピン人先生とのスカイプ授業が可能になったのは日本の英語教育の中では画期的で”epoch- making”なできことであったのである。
本当に外国人講師は玉石混交でよく吟味しなければならない。
そこには、ネイティブだとかそうでないとかに関わりなく、「日本人に英語教育を教える適性があるかどうか」を、小さな子供が生徒になる場合には、特にしっかり考慮に入れなければならないのだ。
問題のカナダ人講師は王様状態だった?
一般的に、ネイティブで、学歴と教養があって、好印象を与える若い人材は、英語教育施設にしても、もっと楽な、小学生以上の子供や大人を相手にする施設を選ぶだろうし、自分の専門や能力を活かせる他の職種で雇用される機会も多いだろう。
「何らかの仕事を選べない事情」があるか、「小さい子供が大好きで仕方がない」のでなかったら、「一人の子供でも、自分の子供一人でも疲れてしまう、言う事をなかなかきかない乳幼児」の相手をしたいとは思わないのではないか?
なので、一度、限られた給料で来てくれるネイティブ講師を確保したら、経営者側は余程のことがないかぎり、「このネイティブの人材を手放すまい!」と、多少のことには目をつぶって、そのネイティブブランド力を生徒集めの宣伝材料にすることはありえるだろう。
そのような事情をわかっているネイティブ講師側も、質が悪い人間だと今回のようなレベルの犯罪行為まで行ってしまうのだろう。周りが甘やかして王様になってしまっていた可能性はあると思う。
この事件が表沙汰になったのは、同じ保育所の元講師のアメリカ人であるという。ビデオでの証拠まで固めての告発であった。
この、まともな感覚を持ったアメリカ人講師は、在職中に、この施設の経営者側に対して、同僚のとんでもない行動を諫めるように何度も訴えていたに違いない。
しかし、事件が公に出たということは、結局、何の対処もされなかったということであろう。
このアメリカ人講師だけではなく、複数の日本人職員(保育士?)が、暴行を目の当たりにしているにも関わらず、この暴力講師にはお咎めがなかったのである。なんと闇の深い職場であろか・・・
更に恐ろしいのは、施設側(保育所)は、この勇気あるアメリカ人の告発を受けての市の調査に対してさえ、初めはしらをきりとおしていたということだ。
そして、園内で「緘口令」が、暗黙裡であるかもしれないが敷かれ、施設に大きな利益をもたらしてくれるネイティブ講師様を守る体制ができあがっていた。
日本人職員は、物いえぬ小さな子供が脅され叩かれるのをみて胸は痛んでいたであろうが、「告発」をすることは即ち、自らが職を失うことであったのだろうと想像できる。
同じ西日本新聞から、別のネイティブ講師の暴力事件が出ている。
あちらでもこちらでも暴力講師
英語講師、別の保育所でも暴力 椅子蹴り暴言 北九州市
九州市若松区の英語教育に力を入れる認可外保育施設で、30代の米国人男性講師が園児の座っている椅子を蹴ったり、暴言を吐いたりしていたことが15日、分かった。施設側の調査に暴力行為を認めた講師は今年1月に出勤停止処分を受け、その後自主退職した。北九州市は同月末、国の通知に基づく特別立ち入り調査を行い、口頭指導していた。
施設には2~6歳までの未就学児約70人が通い、外国人講師による英語学習が人気という。この講師は2016年4月から常勤で勤務していた。
市や施設によると、昨年秋ごろから講師の子どもに対する乱暴な対応が目立つようになり、施設側が注意していた。今年1月に複数の保護者から子どもへの暴言などがあったと通報があり、施設が調査した結果、講師が園児の座る椅子を蹴ったことや、「I don’t like you」「you are bad boy」といった暴言を繰り返していたことを確認した。施設は同月24日に講師を出勤停止にした後、保護者への説明会を開いた。
卒園生の保護者によると、「げんこつで背中をたたかれた」「2階の窓から投げ落とされるふりをされた」と訴えた幼児もいるという。
施設の理事長は「2階から投げるぞ」といった暴言は確認しているとした上で、「こういう事態があったということを真摯(しんし)に受け止めたい。子どもの安全を第一に考え、対応した」としている。
北九州市では、別の認可外保育施設に勤めるカナダ人講師も園児をたたくなどして、市が口頭指導していたことが明らかになっている。
=2019/05/16付 西日本新聞朝刊=
こちらは、施設側がきちんと対応していて一見、問題なしである。が、思うにこのネイティブ講師も、ストレスがかなり溜まっていた可能性はある。
他に働き口はあるだろうに、他人の子供、それも大事なお客様をいじめるくらいなら、なぜこの仕事を辞めなかったのだろう。
この講師側にも、ここを離れられない理由があったのであろうか?
ひょっとして、英語ネイティブでも就職難なのか?
英語ネイティブの就職事情は全く知らず、英語教育の現場にいたわけでもないが、1保護者として自分の実際に見てきた経験から、思うところを「素人の雑記」として書いてみた。
実情に即したものであったであろうか?
この方面に詳しい方がいたらいつでもご教示願いたい。今度、旦那様がネイティブの友人に会った時にそのあたりを詳しく聞いてみようと思う。
次回は、このニュースを見て思い出した、娘の英語保育所時代の思い出の中から、英語保育所での子供の側のストレスについて、またまた主観ではあるが感じたことを気ままに書いてみたいと思う。