北九州市小倉北区の認可外保育施設に勤める40代のカナダ人の男性講師が、施設に通う当時2歳の男児への暴力行為に及んでいたことが14日、分かった。元職員が告発のため、暴行の様子を撮影した動画を会員制交流サイト(SNS)に投稿し発覚。市は同日、施設に対して国の通知に基づく特別立ち入り調査を実施し、口頭指導した。市によると、施設側は事実関係を認めているという。
施設は1歳半から6歳までの未就学児が通い、英語を母語とする講師による英会話の「英才教育」をうたう。投稿された動画は、講師が男児の背中を強くたたき、英語で怒鳴る様子が撮影されていた。
施設によると、この英会話講師は常勤で約5年前から勤務。施設は14日から出勤停止とした。
投稿した元職員は講師として勤めていた米国人男性。子どもの口に本を突っ込む様子を見て驚き、他にも複数の幼児への暴力行為が日常的にあったため2~3月ごろ、ひそかに撮影したと説明している。
西日本新聞は、3月18日の日付が入った投稿の元になった動画や、別の日に撮影された動画を入手。講師が幼児の手を乱暴につかみ上げたり、幼児の背後から洋服をつかんで強く引っ張ったりする様子が写っていた。泣きじゃくる幼児をなだめようと駆け寄る女性職員の姿もあった。
市によると、4月に市民から電話で通報があり調査したが、施設側は「不適切な対応はない」と否定していた。今月13日、再び市民から「動画が上げられている」と市に連絡があり、暴力行為が判明した。
問題発覚を受け、施設側は14日夜に保護者向けの説明会を開催。終了後、施設責任者は取材に「顧問弁護士とも相談してしかるべき対応を取りたい」と話した。市保育課は「施設が適切な対応をするよう指導したい」とコメントした。
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保護者「ショック」
北九州市小倉北区の認可外保育施設で、英会話を担当する外国人講師が幼児に暴力を振るった問題で、施設側は14日夜、保護者説明会を開いた。
説明会は2時間近くに及んだ。終了後、取材に応じた保護者の女性は「説明で不安は解消されなかった。今後どうするか子どもと考えたい」。15日から子どもを通わせる予定という母親は「動画を見てショックだった。マイナスイメージが心配」と声を落とした。施設側からは「管理不足だった」との説明もあったという。
ちょっと過激な先生も確かにいた
この園には1歳半から6歳、つまり就学前の子供が通っていたようであるが、ここには娘が通っていた英語託児所(途中から幼稚園として生まれ変わった)と類似した状況があったのだろう。
細かい相違点はあるとは思うが、おそらく英語保育施設共通の問題が潜んでいるように思える。
娘の託児所には、子供に暴力を振るう講師こそいなかったが、暴力を奨励する講師は確かにいた。
その人は、イギリス人の40台くらいの男性講師。娘の担任ではなかったが、当初は、数少ないネイティブ講師に当たって、喜んでいた保護者もいた。
しかし、一見して、「イギリスの労働者階級」の方であった。毎晩居酒屋(イギリスではPUB)にたむろしてサッカー中継に命を懸けているーそういうローカル感の漂う、赤ら顔の先生だった。
人懐こい笑顔で、悪い人ではなさそうなのだが、見るからに「講師」といったタイプではないのだ。
この先生の話す英語は、アクセントが強く、少し聴き取りにくい所があった。
today(トゥデイ)が、「トゥダイ」と言った感じになる。オーストラリアの英語もこんな感じだが。フィリピンの先生の「アメリカ英語」の方が、慣れている分、耳に馴染みやすいと感じた。
イギリスは階級社会であり、社会階層の棲み分けが、英語のアクセントにも反映されている。
インテリ層出身の、もう一人のイギリス人の娘の担任の先生は、自分とは反りが合わないこの先生のやばそうな点を不安視することがあった。私は、最もらしいなぁと思いながら相槌を打って聞いていた。
そうして、ある日、問題は起こった。
子供同士が諍いを起こした時、なんとこの「居酒屋先生」は、この小さな男の子たちを焚きつけて、ボクシングのファイティングポーズを取らせて、
「さぁ、お前たち、勝負がつくまでとことんやれ!」
ときたのだ。
保護者の間に衝撃が走ると間もなく、この先生は、この保育所から消えた。
経営者である先生がしっかりした考えの日本女性であったため、毅然とした態度を取られたのであろう。
この英語託児所では、保護者から見ても問題のある講師は、居続けることはなくすぐに解雇されるのが常であったように思う。
しかし、そこには、日本の保育所とはまた違った外国人を雇用する「英語保育」であるが故の難しさや問題点が露呈していたと感じる。
以下、続けて、日本の保育所、カナダの幼稚園も経験した私が、感じたことを書いてゆく。
主力はフィリピン人の先生
娘のお世話になった英語保育所は、とにかく月謝が安かった。
朝の7時半から午後6時ごろまで預けっぱなしにしている人もいたが、それでも日本の保育所と金額的には大差はなかった。
当時、この地域では、英語保育を売りにしているところなど稀で、ちょっとキワモノ扱いで見られることもあったりした、まぁそういう時代だ。通える範囲の3つを比較すると、断然コスパのよいここを迷いなく選んだ。
その頃はまだ、現在のような英語ブームは来ておらず、生徒は少ない。どの年齢も、多くても5~6人くらいであり、保育所側もこれは人件費を削らないと経営は厳しいだろうな、とは感じていた。
なので、ここでは、アメリカ人やカナダ人のようなネイティブ講師を多数雇う余裕がなかったのであろう。娘が入所した頃は、先生の殆どがフィリピン人女性だった。
彼女達は、優秀であった。英語講師としても保育士としてもである。
殆どの先生が、子育て経験者であるため、幼児の世話など、お手のものであった。勿論「オムツ交換」も含めてである。
日本に来て、英語講師として採用されるからには、学歴も申し分無かったのであろう。少し観察すれば彼女達の知的水準の高さが伺えた。
しかしながら、彼女達はネイティブスピーカーの範疇にはいないのだ。
とは言っても、余程英語に熟達している人がを除いては、彼女達のの英語とネイティブスピーカーの違いなど普通の日本人にはなかなか分からないと思う。
中には、フィリピン訛りの強めの先生もいたが、メインとなる先生はアメリカ人のような英語を話されていた。
母国では、教職につかれていたらしいことを聞いた。
フィリピンは多言語国家であり、出身地域により母語が違っている。知り合いのフィリピン人英会話講師によれば、その母語が何かにより、英語の訛りの度合いが異なってくるそうである。
マニラを中心とするルソン島南部のタガログ語は、英語と共にフィリピンの公用語であるが、セブ島ではビサヤ語、といった具合に100をゆうに超える言語が話されているのだ。
異なった母語の干渉を受けるという点において、一括りに「フィリピン英語」と呼ぶことはできない、というのは娘がSkypeレッスンをしていた際にいつも感じていたことである。
そして、フィリピン人にとっても綺麗な英語を話すことが即収入につながるため、英語教育にかける保護者の熱の入れ方は日本同様である。
娘のスカイプの先生の中には、高校時代にわざわざ、親にアメリカ留学をさせられていたと証言する先生もいたのだから驚きである。
英語が公用語で小学校でも英語で授業がされているが、より質の高い英語を身につけるために、皆さん様々な工夫や努力をされているのである。
すそ野は広くても、英語のレベルによるヒエラルキーは、この国でも確かに存在しており、先生方の話をきくにつれ、それは日本よりもずっとシビアなものであることを感じさせらることが多々あった。
「子供の教育にかける親の関心や苦労はどこも同じなのだなぁ」と、フィリピンの親御さん達に妙に親近感を持ってしまった。
それは、社会格差の大きいあの国の、富裕層に限られたことかもしれないが・・・
(なんだか脱線しそうな流れなので、次回でニュースの本題に戻る)