Friendshipは船と港 ~藤田くらら 小6でTOEIC980点までの軌跡~

小学6年でTOEIC980点を取った女の子のお話。中学1年での、学校体育時の事故が原因で「脳脊髄液減少症」を発症。寝たきりから「復活」の兆しが…

神戸新聞に娘の学校事故の記事が掲載されました。

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平成31年3月18日 神戸新聞 <朝刊>

 

この記事が、現行の脳脊髄液減少症の不誠実な診断規準の見直しと、学校事故における疾病治療に必要な自費診療の扱いの不当さの是正に微力ながら貢献し、現在、娘を含め、医療保険制度から不当に見放されている全国の患者さんへの行政からの人道的救済が一日でも早く実現することを願う。

神戸市の14歳、授業中の事故で発症
保険適用ならずふくらむ治療費
外傷の影響で激しい頭痛やめまい
脳脊髄液減少症


スポーツや交通事故などの外傷が原因で発症する「脳脊髄液減少症」という症状がある。体への衝撃で髄液が漏れ、ひどいめまいや頭痛、だるさなどを引き起こす。誰でも身近に起こり得るが、厚生労働省の研究班による診断基準は厳しく、保険適用されないケースも多いという。適用されなければ、長期間多国の治療費を自費でまかなわなければならず、当事者の負担が大きい。診断基準の緩和を求める声もあるが、そのめどは立っていない。(鈴木久仁子)

神戸市東灘区在住の藤田紅良々さん(14)は1年前、中学の体育の授業中、サッカーのドリブルをしていた際、「後方から来た同級生がボールを奪おうと伸ばした足に引っかかり、宙を吹っ飛び腰から落ちた」(紅良々さん)という。当日の夜に気分が悪くなり、翌日から強い頭痛を発症。明舞中央病院(明石市)を訪ねると、起き上がるときなどに現れる「起立性頭痛」と診断された。
脳や脊髄の周囲を覆う硬膜のどこかに穴が開き、脳髄液が漏れる「脳脊髄液減少症」の主症状だ。直ちに入院となった。静かに動かず横たわる「安静臥床」と、点滴する保存的治療を、2週間1クールで3回繰り返した。入院して症状は軽減したものの、退院後に再発を繰り返したため、画像検査などを行い、自分の血液を注射して漏れた所にふたをする「ブラッドパッチ」を3回、計8カ所に施した。症状はやや改善したが、慢性化していった。

これまでの治療費はおよそ60万円にもなるが、保険は適用されず、全額自費で支払っている。現在頭痛は大幅に軽減したものの、1日18時間以上昏睡状態のように眠り、記憶力や判断力が落ちる「高次脳機能障害」もあるため、通学はできていない。
藤田さんが保険適用外となった理由は、厚労省の研究班が定める「『脳髄液の漏出』している「『確定・確実』な画像」の撮影が難しいためだ。
同病院副院長で脳神経外科を専門とする中川紀充医師(58)は「漏出の程度や機械の精度の問題もあり、脳髄液の漏れが不明瞭なことも多い。特に小児や10代など低年齢では、はっきりと漏れた状態が写らないことが多い」と指摘する。
「たとえ『確定・確実』でなくても、客観的な状況から漏れている可能性が高い場合、ふさぐ治療を施すことで回復する患者も多く、元の生活に戻れている。早ければ早いほど治療の効果も高いが、今の厳しい基準では多くの患者が保険適用を受けられず、負担が大きい。国には現状に見合った見直しを早急に求めたい」と話す。

保険の適用外をなった藤田さん。学校内の事故に対応する「スポーツ振興センター」の給付金も、保険適用が条件のため支払われず、受けられたのは、学校が入る「安全互助会」(神戸市)からの「一度のケガで上限10万円の入院見舞金」のみ。また、任意加入の神戸市PTA協議会の保険も、PTA活動が対象で学校での授業には適用されなかった。
紅良々さんの母は「娘の人生が変わるほどの被害を受けた上、今後の治寝費や時間の見通しも立たず、疲労困想で限界に近い」と訴えている。


「学校関係者や医療従事者にも、この病気への正しい理解を広めたい」と話す中川紀充副院長=明石市松が丘4、明舞中央病院

ヘッドホンで音楽を聴きながら、1日18時間以上の昏睡状態に入る藤田紅良々さん=神戸市東灘区内



平成31年3月18日 神戸新聞 <朝刊>