Friendshipは船と港 ~藤田くらら 小6でTOEIC980点までの軌跡~

小学6年でTOEIC980点を取った女の子のお話。中学1年での、学校体育時の事故が原因で「脳脊髄液減少症」を発症。寝たきりから「復活」の兆しが…

「懷念當年的妳(あの頃の君が懐かしい)」・・・2014年秋、淡水にて

前回に続いて、5年前の2014年秋、娘と台湾へ行った時のことを綴ります。

 キンドルが主役の前回の記事はこちら

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 、小学4年生の時の台湾への旅。

10月とは言え、まだ涼しくはない8日ほどの行程を、毎日元気に歩き通していました。旅も終盤に差し掛かり、台北からMRT淡水線で40分で行ける淡水を目指します。

日没を見ようと電車の窓から夕陽を追いかけて淡水駅に着いた時には、丁度夕陽が沈もうとしていました。

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淡水駅のプラットフォームから淡水河に沈む夕日を望む

 

 そもそも、何故淡水へ行ったのかというと、私が、25年ほど前、台湾で1年半ほど生活をしていたのですが、その時も、その前後の台湾旅行の時も、淡水へは足を運べませんでした。私がいたのは台南という南部の都市で、台北周辺への観光地にはほとんど行けず、「赤嵌楼」や、鄭成功ゆかりの場所を訪れる他は、友人と台南周辺の浜辺でエビを釣って食べたり、ヤシの木が茂り水牛が田んぼに佇む田舎をバイクで回ったりしていました。

南部で泥臭い活動ばかりしていた私は、洗練された北部に対して畏怖に近いを気持ちを持っており、今回の旅ではそれを払拭しようと考えていたのでした。

 

なので、案内役の友人に「淡水、淡水、是非に!」と頼みました。「台湾のベニス」と呼ばれる淡水の幻想的であり神秘的な黄昏に立ち合ってから、日本に戻りたいと思ったのです。 (左の画像は、まさに、映画「ベニスに死す」の色ですね!)

 

一方、娘にとっての淡水は、大阪中華学校の国語の教科書で、出てきた地名であります。

3年生後半か4年生の初めに「懷念淡水河」(淡水河を懐かしむ)、という詩を勉強して、暗唱していました。淡水を詠った詩は、これ以外にもあり、小学校の教科書ではよく取り上げる、台湾の人にとっても特別な意味を持つ場所だとわかります。

 

まだ行ったことのない国(敢えてといいます!)の、或る地域を、本の中で学習しただけでしたが、それからしばらくして本物の淡水河を前にした時の喜びは大きかったようです。予め勉強したことが100倍の感動をもたらすことになり、これほど旅についての事前の学習をする意義を感じたことは、ありませんでした。

 

黄昏色のニュアンスに染まる雄大な淡水河に向かい、娘と私は一緒に、淡水河を詠ったこの詩を、覚えているところまで声に出して詠んで捧げました。

はるばる、日本からやってきた日本人の親子が、中国語で自分を詠んだ詩を暗唱している姿に、淡水河もびっくりしたかもしれません。

モネもびっくり、臺灣の「印象日の入り」

 

この詩には、「懷念當年的妳 (あの頃の君が懐かしい・・・)」が、何回も詠まれます。

「ほわいにぇん だんにぇんどぅ にぃ」 中国語の音は本当に綺麗です

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漢字を見れば大体の意味が取れると思いますが、興が乗ったので日本語訳をつけてみました。(中国語は荒っぽく習得しましたので、間違いがあればご指摘お願い致します)

 

懷念當年的妳            あの頃の君が懐かしい

從廣大的田野流過          広大な田畑を流れて

帶來深山裡叢林的氣息        山深い木々の息吹をもたらし

松針和苔蘚把妳染綠了        松葉と苔が君を緑色に染める

柔媚的綠色的淡水河         柔らかい緑色の淡水河

     

懷念當年的妳            あの頃の君が懐かしい

從都市的邊緣流過          都市の周辺を流れて

帶來人群的快樂和奮勉        人々の楽しみと精励をもたらし

晴空的映照把妳染藍了        晴天の照り返しが君を青色に染める

歡躍的藍色的淡水河         喜びに踊る青色の淡水河

 

懷念當年的妳            あの頃の君が懐かしい

在茫茫暮色裡流過          渺茫たる黄昏の中を流れ

帶來夕陽下大地的祥和        夕陽の下の大地に平和をもたらし

晚霞的閃耀把妳染黃了        夕焼けの煌めきが君を黄色に染める

美麗的金色的淡水河         麗しい黄金色の淡水河

 

懷念當年的妳            あの頃の君が懐かしい

在點點星光下流過          瞬く星の下を流れ

帶來深夜裡人間的安泰        夜更けに人々の安泰をもたらし

明月的凝視把你染白了        名月のまなざしは君を白色に染める

潔淨的銀色的淡水河         清らかな銀色の淡水河

 

 【My 解釈】これは、小学3~4年生の教科書に載っている、教材として使われた詩であるからには、叙景的なものとして捉えるべきなのであろうが、この淡水川のほとりに実際に立った身として一言申したい。これは、「あの頃、淡水河に何度も一緒に来て、刻々と変わる淡水河の美しい情景を一緒に見つめていた愛しい女性」のことを懐かしく思いだしている心情を、淡水河に重ねて詠っているのだと思う。

妳(ニィ)」というのは、「あなた」の女性形である。河を擬人化して、フランス語のように女性名詞として捉えているのかもしれないが、この妳(ニィ)が、河の事とも取れるし、愛しい女性とも取れるところがミソなのであろう。

また、この女性は、すでに分かれてしまったかつての恋人であったかもしれないし、今まさに、隣にいる自分の妻のことかもしれない。それによって、この詩が呈する様相は180度変わってくる・・・

う~ん、小学校の教室では、先生はここまで言ったのでしょうか? 

 

それはともかくとして、私にとっての、「妳」は、娘、紅良々であり、淡水川の黄昏の美しい情景の中で一緒に詩を詠んだ時の、あの時の身も震えるような感銘が、一幅の名画のように心に刻み込まれています。

好懷念當年的妳・・・あの頃の君がとても懐かしい・・・」 

楽しかった旅に思いを馳せると、娘が、健康で幸せだったあの頃に戻りたい気持ちに駆られ、胸が切なく、苦しくなってしまうのです。

 

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